膀胱炎とは
膀胱炎は膀胱が炎症を起こす病気です。膀胱炎にはいくつかの種類がありますが、ここでは最も一般的な細菌性の急性膀胱炎について記載します。
急性膀胱炎の症状
主な症状としては、排尿時の痛みや灼熱感・残尿感・頻尿・尿意切迫・血尿などが見られます。なお、高熱や倦怠感などの全身症状、背部痛などを伴う場合には腎盂腎炎を併発している可能性もあり、重症化するリスクもありますので、すみやかに医療機関を受診することが大切です。
急性膀胱炎の原因
膀胱炎は女性に多く、特に妊娠可能な年齢でよくみられます。膀胱炎を何度も繰り返す女性もいます。膀胱炎が女性に多い理由としては、女性の尿道が短いことや、細菌が豊富に存在する腟や肛門と尿道との距離が近いことなど、いくつかの理由が挙げられます。
急性膀胱炎の治療
通常、細菌性膀胱炎は抗菌薬で治療します。
急性膀胱炎の予防
水分を多めに摂る
1日に1500ml以上の飲水をした場合には膀胱炎の再発が抑えられることが科学的に証明されています。
(Hooton TM, et al. JAMA Intern Med. 2018;178(11):1509-1515.)
トイレを我慢しない
尿を我慢していると膀胱内に細菌が繁殖しやすくなるので、なるべく我慢しないようにしましょう。
外陰部の清潔を保つ
その他の膀胱炎
(間質性膀胱炎など)
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)とは
間質性膀胱炎・膀胱痛症候群(IC/BPS)は、その定義は明確ではありませんが、膀胱に原因不明の障害がおこり、それによって膀胱痛、頻尿・夜間頻尿、尿意亢進、残尿感などの症状がでる病気とされています。
診断は上記などの症状があることと、膀胱の感染症・悪性新生物・尿路結石・過活動膀胱などの他の疾患を認めないことで診断されます。また、内視鏡検査で膀胱の内側にハンナ病変を認めた場合は間質性膀胱炎(ハンナ型)、ハンナ病変がない場合は膀胱痛症候群と診断され、間質性膀胱炎(ハンナ型)は厚生労働省の指定難病とされています。
間質性膀胱炎・
膀胱痛症候群の治療
前述通り、間質性膀胱炎の原因ははっきりとわかっていないため、根治が期待できる治療法は確立されておらず、個々の患者様の症状などに最も適切と思われる治療を組み合わせておこないます。
保存的治療としては食事療法(コーヒー、紅茶、チョコレート、アルコール、トマト、柑橘類、香辛料、ビタミンCを避けるなど。ただし、症状を悪化させる食品は個人によっても異なると考えられています)、ストレスの緩和、膀胱訓練など。
薬物療法の場合は、抗アレルギー薬や抗うつ薬、鎮静薬などが有効となることがあります。そして、手術療法としては膀胱水圧拡張術などがありますが、それらの治療で効果がない場合にはさらなる手術療法を検討することもあります。